民間刑務所(みんかんけいむしょ)

民間企業が運営する刑務所。政府の支出削減策として、1980年代にアメリカで誕生した。運営会社が収益を上げる仕組みは、基本的には軽作業等を受注し、受刑者の超安価な労働力を使って利益を確保するというもの。だが、受刑者という安価な労働力を確保するために、運営会社が、犯罪者の刑期を長くするよう司法当局に働きかけるロビー活動があったとして問題となるなど、矛盾が噴出している。また、民間刑務所内の治安の悪化(運営会社が経費削減のために警備が手薄になったことが主な原因)による公費での警備費の拡大、凶悪受刑者が民間刑務所内で起こした犯罪に対する州政府を相手取った訴訟の増加等によって、政府にとっても思ったほどの経費削減にはつながらず、運営企業の経費も増え続けていることなどから、アメリカ国内では閉鎖も相次いでいる。さらには、司法当局からの天下りも問題となっている。こうしたアメリカでの矛盾が顕在化しているにもかかわらず、日本では2007年から、FPI方式(民間資金活用による社会資本整備)によって設立された半官半民の「民活刑務所」が相次いで設立されている。


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