第84回「政府・国民経済と企業経営」 2016年1月21日
実業家で参議院議員でもある松田公太氏が、
自身のブログで以下のようなことを書いていました。
http://ameblo.jp/koutamatsuda/entry-12119549886.html
『また、日本は世界でも極めて高い1200兆円もの
債務を抱えていて、深刻な赤字の状態が続いています。
にもかかわらず、実際に調査される企業においては、
経営状態が全く考慮されておりません。
もし、民間企業との比較をするのならば、
大借金を抱えていて、大赤字の会社と比較するべきです。
大借金・大赤字の会社で、給与やボーナスを
上げているところなど、聞いたことがありません。
民間で経営に携わってきた者として、このような状況で、
国家公務員の給与を引き上げることには賛成できませんでした。』
まさに、上記が現在の日本が抱える経済問題を
象徴する「レトリック」になります。
まず、
「日本は世界でも極めて高い1200兆円もの債務を抱えている」
という表現が問題です。何しろ、負債を抱えているのは
日本政府であり「日本国」ではありません。国家の経済主体は、
家計、企業、政府、NPOなどに分類できますが、
そのうちの「政府」が1000兆円を超す負債を抱えているのです。
日本国家全体で言えば、
我が国は世界最大の対外純資産国、すなわちお金持ち国家になります。
さらに、日本政府は子会社の日本銀行を通じ
「日本円」を発行できる存在です。
日本政府の負債は100%日本円建てです。
日本円を発行できる政府が、日本円建ての負債を
返済できないなどということはあり得ません。
また、政府の負債の「債権者」が日本国民であり、逆ではありません。
ところで、なぜ日本政府の負債が(GDPに比して)増えたのか。
もちろん、デフレーションが原因ですが、
この辺りのプロセスは散々に解説して参りましたので、今回は省略します。
松田議員のレトリックで、より問題なのは
「政府」あるいは「国民経済」と、企業の会計を同一視している点です。
企業の経営は引き算(売上-費用=利益)になりますが、
政府・国民経済は「足し算」なのです。政府の負債を減らしたい
ならば(別に、減らす必要もないのですが)、税収を増やす必要があります。
税収とは、国民の所得の「合計」であるGDPから政府への分配に該当します。
税収とは、大雑把に書くと「GDPx税率」で決まります。
すなわち、税収を増やすには国民の所得の合計である
「GDP」を増やす必要があるのです。
ちなみに、公務員給与は「政府最終消費支出」というGDPの需要項目の一つです。
すなわち、公務員給与を引き下げると、GDPが減ります。
GDPが減ると、税収が減り、財政赤字は拡大します。
三橋は公務員でもなければ、公務員の親戚がいるわけでもないので、
個人的には公務員の給与が高かろうが低かろうが、どうでもいいです。
ただ、足し算である政府の財政・国民経済を、引き算である
企業経営と同一視して語るレトリックが間違っていると言いたいだけです。
もっとも、松田議員の認識は、多くの国民が共有しているのではないかと思います。
政府の財政や国民経済は「足し算」であるという事実を、
早急に国民や政治家が認識しなければ、我が国がデフレから脱却することは
甚だしく困難であると思う次第でございます。
政府と国民は足し算とゆう事、いままで、私の考えで、はありませんでしたデフレ脱却を、国が旗印にやってる方向が違うようで、成功できないのではないか、心配します
今月の月間三橋と今回のメルマガは、私にとって非常に衝撃でした。
私が今まで聞かされ続けてきたこと、思い続けてきたこととほぼ真逆のことを語られているからです。
・<政府の負債の「債権者」が日本国民>・・・日本国民が債務者だと思っていました。
・<負債を抱えているのは日本政府であり「日本国」ではありません>・・・日本政府=日本国と思っていました。
早い話、松田氏と全く同意見でした。
ただ、三橋氏には申し訳ありませんが、まだどちらのご意見が正しいのか私にはまだ判断がつきません。
これからの私がしなければならないことは、安易に情報が入ってくる新聞やテレビの情報を鵜呑みにせず
あらゆる面から情報をかき集め冷静に判断する能力を養うことに尽力したいと思います。
びっくりぼんや ですね。明治時代に両替商が借金を踏み倒されたのと同じ構図と理解しました。
経済初心者で、とんちんかんな質問でしたらすいません。
三橋さんは、企業の経営は引き算(売上-費用=利益)になりますが、政府・国民経済は「足し算」と言われてますが、
何と何を足して=何に成るのでしょうか。
教示願います。
また、どこかに記述が有りましたらすいません。
国家財政が どのようであれば 税金を納め 多くの社会保障費を徴収されている国民として 将来に亘って安心できるのかを
具体的に解かり易く説明してもらいたい。
政府の債務が1000兆を超えるが 日銀が円を上手に発行すれば心配することはないと 言い切れる条件があるのではないか?