日本軍性奴隷制を裁く(にほんぐんせいどれいせいをさばく)

旧日本軍の慰安婦問題を追及する目的で行われた、法廷を模した抗議活動(民衆法廷)。「女性国際戦犯法廷」と銘打たれ、日本語での副題は「日本軍性奴隷制を裁く2000年女性国際戦犯法廷」となっている。「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク(VAWW-NETジャパン)を中心とする団体が、2000年に東京で、2001年にオランダで開催した。その中で「判決」として「天皇裕仁(昭和天皇)及び日本国を、強姦及び性奴隷制度について、人道に対する罪で有罪」とし、その根拠として「慰安所が組織的に設立され、軍の一部であり、当時適用可能な法に照らしても人道に対する罪が構成される」とした。この「裁判」の主催者は韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)の尹貞玉(ユン・ジョンオク)、元朝日新聞記者でVAWW-NETジャパンの松井やより等。なお、この「法廷」を2001年にNHKがETV特集シリーズ「戦争をどう裁くか」の第2夜「問われる戦時性暴力」で放送。保守系政治家や政治団体は放送前に、放送中止を求める抗議活動を行ったが、その3日後に放送された。ただ、「法廷」の内容がそのまま放送されたのではなく、「このような取り組みがなされている」といった内容だったことや、歴史家の秦郁彦氏らの「法廷」への批判的コメントが放送されるなどしたため、放送後は主催者側からNHKが提訴されることになる。さらに、年を経た2005年、朝日新聞がこのときの放送に関して、当時の産業経済相・中川昭一、内閣官房副長官・安倍晋三の両氏からNHK上層部への政治介入があったと報じた。ただし、中川、安倍両氏がNHKに意見を述べたのは放送の3日後だったことが確認されている。また、安倍氏は2005年1月に「女性国際戦犯法廷の検事として北朝鮮の代表者が2人入っていることと、その2人が北朝鮮の工作員と認定されて日本政府よりこれ以降入国ビザの発行を止められていること」を指摘して、「北朝鮮の工作活動が女性国際戦犯法廷に対してされていた」とする見方を示した。経済評論家の池田信夫は、この「法廷」について「常軌を逸した極左的プロパガンダ」、「検事役として登場した黄虎男は北朝鮮の工作員だった」と指摘している。


コメントを残す