LNT仮説(えるえぬてぃーかせつ)
LNTとは「Linear Non-Threshold」の略。日本語では「閾値(しきいち)なし直線仮説」などと呼ばれる。放射線の被曝線量と癌の発生率などの人体への影響との関係には、閾値(ある一定量を超えるまでは影響がなく、そこを超えた瞬間から影響が出始めるような値)がなく、直線的な比例関係が成り立つという仮説。これに対して、被ばく線量がある値以下のときには、人体への影響はないとする仮説を「閾値仮説」という。1920年代に遺伝学者のH.J.マラー博士が行った研究によれば、ショウジョウバエに放射線をあて、その子孫への影響を調べたところ、放射線量と影響との間に閾値のない比例関係が認められたという。ただし、その後の研究によって、このショウジョウバエは遺伝子修復機能のないショウジョウバエだったことがわかり、現在ではLNT仮説では説明できない研究結果が数多く発表されるなど、その信憑性は大きく損なわれている。