第73回「ドイツ第四帝国の支配と崩壊 」 2015年10月29日

ヒカルランドから
「ドイツ第四帝国の支配と崩壊 亡国の新帝国主義(グローバリズム) 日本人に緊急警告!」
を刊行しました。(長いので「ドイツ第四帝国の支配と崩壊 」とします)
http://www.amazon.co.jp/dp/4864713170/

意外にご存じない方が多いのですが、
第二次世界大戦(あるいは世界大恐慌)前の世界は「グローバリズムの世界」でした。
モノ、ヒト、カネという経営の三要素の国境を越えた移動を自由化し、
世界の「国」「企業」「人」が勝ち組と負け組に分かれていったのです。

勝ち組となった「国」は、負け組の国の住民から「主権」を奪い、
交易、直接投資、証券投資により、所得を継続的に吸い上げる政策を実施しました。

これこそが、帝国主義の本質です。

帝国主義とは、欧米諸国がアジア・アフリカ諸国に自由貿易やグ
ローバリズムを押し付け、延々と所得を獲得する「システム」のことなのでございます。
軍事力は、あくまでアジア・アフリカ諸国の主権を奪い取ること、もしくは
主権を奪われた植民地の住民の反乱を抑えることに用いられました。

帝国主義諸国にとって、植民地の住民には存在してもらう必要があります。
輸出の「市場」として、あるいは直接投資や証券投資の配当金、金利を支払う者として、
植民地の住民には役目をはたしてもらわなければなりません。

帝国主義諸国は、植民地を軍事的に支配し、ときに支配は残虐の領域に達しましたが、
少なくとも「住民を皆殺しにする」などということはやりませんでした。
所得を献上する者がいなくなってしまうと、帝国主義諸国側が困るのです。

ところが、唯一、植民地の住民を「最終的解決」するという形の帝国主義を
実践した帝国がありました。すなわち、ドイツ第三帝国です。

ドイツ第三帝国は「東方生存圏構想」「大ゲルマン帝国」という、
人類史上最悪の誇大妄想に基づき、ポーランドに侵攻。第二次世界大戦が勃発しました。

さて、帝国主義の基本は、上記の通り、
「相手国の「住民」から主権を奪い、あるいは主権を与えず、
 所得を継続的に吸収する仕組みを構築すること」
になります。相手国から主権を奪うためには、必ずしも軍事力を
行使する必要はありません。「国際協定」「条約」を利用する手もあるわけです。

例えば、国際協定で「関税自主権」「金融主権」「財政主権」さらには
「入国管理の主権」を各国が失うと、あら不思議。モノ、ヒト、カネの国境を
越えた移動の自由化というグローバリズムが実現し、しかも協定により永続するのです。

すなわち、新帝国主義が成立するわけですが、「帝国主義」である以上、
各国は勝ち組」と負け組に二分化されていきます。勝ち組の国にとって、
上記、グローバリズムが実現した「国際協定」の世界は、まことに都合がいいわけです。

お分かりでしょうが、
現在のEU・ユーロ圏は、事実上、ドイツの第四帝国と化してしまっています。

特に、負け組の代表株であるギリシャは、国民投票で緊縮財政を
否定したにも関わらず、結局はEU(というより、ドイツ)に従わざるを得ませんでした。

ギリシャ国民は、すでに財政主権がないも同然です。もちろん、ユーロ・EUに
加盟している以上、関税自主権、金融主権、入国管理の主権もありません。

いかがでしょうか? 現在のEU・ユーロ圏は、定義的に見ても、
あるいは実体としても、ドイツの「第四帝国」と化しているのでございます。

というわけで、ヒカルランド「ドイツ第四帝国の支配と崩壊」、是非、ご一読下さいませ。
http://www.amazon.co.jp/dp/4864713170/

今週も最後までお読み頂き、ありがとうございました。

コメント数:4

  • seiichi shinohara

    今回のお話しで、EUにはドイツ以外にもフランス、ベネルックス、イタリアなど多くの有力な国が入っていると思うのですが、それらの国の思惑、立ち位置がわかりませんのでご教授下さい。

  • 大変個人的で、直接的な話で恐縮なのですが、昔私が20代の頃、いわゆる青春時代に、お友達になった男性で、ドイツに赴任し、今でも生活しています。考えてみれば、彼はとても愛想が良いのですが、どこか信じきれないところがありました。そんな彼が、今のドイツの経済を動かしている一人かと思うと、どこか納得し、やるせない思いがいたします。
    ところが、そんなドイツの現状を全く知らずに、のほほんと暮らしていたせいで、私の車はワーゲンです。とても愛着があり、気に入っているのですが、何となく、周りの目が冷たいように感じます。今後もこんな感じでしょうか。
    本当に無知は、しょうがないですね。世の中の困った存在にならないで生きていきたいです。月刊三橋を購読して、勉強出来ることがうれしく感じます。よろしくお願いします。
    コメントはあまりに個人的なので、出来れば公開せずに匿名でお願いします。

    • 私は月刊三橋の購読者になって間も無い物ですが、本質を見抜く力を早く身に着けたいと思っています。それは、若い時にサウジアラビアに居たことで、その国の得意分野や経済力と貿易バランスや協調性、パワーバランスなど幅広い知識や物の見方が大切と感じなるべく多くの情報を収集し、どう思う?と投げ掛けたり意見を聞いたりなんですが、消化出来るかどうかはキャパシティの問題は有りますが、考える事も話す事も生きているうちしか出来ないのだからとですよ。

  • 「ヒトラーが銃剣を以って制覇できなかったヨーロッパを、メンケルはユーロで制覇した。」
    よく言われるジョークですね。
    「ナチスが第三帝国ならば、EUは第四帝国」
    なるほど、そうかも知れません。
    今の状態では、EUはますますドイツの言う通りになることは確実でしょう。
    これは、もとよりEUなんて理想だけだった、と考えれば納得できることですね。
    三橋貴明さん、今後も貴重な情報をよろしくお願い致します。

コメントを残す