第72回「情報リテラシー五原則」 2015年10月22日

前回「抽象表現」の問題について取り上げました。

もちろん、小説やコミックなど、エンターテイメント分野においては、
日本語が持つ抽象力は最強の武器です。
分かりやすく書くと、恐ろしく幅広い表現が可能なのです。

とはいえ、問題を解決しようとしたとき、抽象表現は厄介者にならざるを得ません。
理由は、「正確に問題を把握する」ことを妨げてしまうためです。

本日から、月刊三橋メンバー限定の新プログラム
「三橋貴明の日本一わかりやすい経済指標の読み方」の収録が始まります。

「分かりやすい」とは、「やさしく話す」という意味ではありません。
木村拓哉が主演を務めた「Change」というドラマで、主人公の朝倉 啓太が、
「小学校五年生でも分かるように、説明してくれませんか?」
と、他の議員に聞くシーンがあるのですが、
日本人が「小学生にも分かるように【経済】を説明」しようとすると、必ず「抽象度」が高まり、
事実とかけ離れた方向に向かいがちになります。たとえば、日本政府の負債について、
「A君の家族は、毎月40万円のお父さんの給与で暮らしているんだけど、
100万円もおカネを払っていて、他の人から900万円のおカネを借りているんだよ」
と、家計簿に例える例が典型です。

上記は実は「分かりやすい」説明ではありません。

分かりやすい説明とは、以下の「情報リテラシー五原則」を満たしていなければならないのです。
(リテラシーとは、読み取り能力という意味です)

(1) 定義する
(2) ブレイクダウン(細分化)する
(3) 比較する
(4) 推移を見る
(5) 関係を見る

三橋の説明を「分かりやすい」と思われているとしたら、上記を徹底的に守っているためです。
元々は、企業診断の財務諸表分析の手法なのですが、
それを「国民経済」の分野に持ち込んだところ、吃驚するほどに受けてしまいました。

理由は、それまで「誰もやっていなかった」ためなのです。

恐ろしいことに、全ての日本国民に影響する国民経済(マクロ経済)分野において、
情報リテラシー五原則を中心に据えて言論活動をしていた人が、誰もいなかったのです(今は増えてきましたが)。

というわけで、皆様も是非とも上記五原則を習慣づけてみて下さい。「世界」が綺麗に見えてきます。いや、本当に。

今週も最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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