第69回「ドイツとドイツ国民」 2015年10月1日

ドイツの自動車企業フォルクスワーゲンが、
大変な問題を引き起こしました。

アメリカの排ガス規制を潜り抜けるため、
フォルクスワーゲンはディーゼル車に試験の時だけ、
有害物質の排出を低く抑える不正なソフトウエアを搭載していたのです。

違法に排ガス規制をクリアし、世界に販売された
自動車の台数は1000万台を超えるといわれています。
不正ソフトは、検査の時だけ排ガス低減機能を稼働させる仕組みで、
通常走行時の排出量は約40倍に上るというわけですから、
裏切りもいいところです。

実は、フォルクスワーゲンの不正行為については、トヨタ自動車が
数年前から欧州の規制当局に取り締まりを要請してしました。

理由は、トヨタのディーゼル車開発において、
フォルクスワーゲンと同じ燃費や走行性能を実現すると、
排ガス規制をクリアすることができなかったためです。

フォルクスワーゲンのデータは、
「競合他社と比べても、不正ソフトを使わない限り説明できない値」
だったそうでございます。

さて、川口マーン恵美先生によると、9月22日にドイツの
第二テレビ(ZDF)のニュース番組に登場した経済専門家が、

「我々の車が世界中で認められていたのは、
 安いからではなく、その高品質のせいであった。
 今回の事件でその品質に傷がつけば、他国のメーカーが力を増す」

「そうなれば、”ワンダフル!”と言いながら、
 他のメーカーがその隙間に入り込む。たとえば、トヨタ!」

と、トヨタを名指しで、しかも憎々しげに断定したとのことです。

別に、トヨタに限らず、
日本人が「ワンダフル!」などと他人の不幸に付け込むとは思いません。
ドイツ人がそう考えるならば、実は「自分たちはそうする」からのような気がします。

また、同じく川口マーン恵美先生の
「ドイツの脱原発がよくわかる本: 日本が見習ってはいけない理由」
http://www.amazon.co.jp/dp/4794221258/
を読むと、ドイツ国民が日本国民以上に「感傷的」「感情的」に
脱原発に突っ走っている現実が分かります。

何となく、日本国民は「ドイツ国民は冷静で実践主義的」との
印象を覚えているような気がしますが、現実は全く違うのです。

そういえば、9月4日に、
例のトルコ沖で溺死したシリア人の男の子の写真が報じられた途端に、
ドイツでは「難民受け入れ」の世論が沸騰しました。

世論の高まりを受け、メルケル政権が難民を大々的に受け入れ始めた結果、
現在のドイツがどうなってしまったかは、ご存じの通りです。

日本国民は、そろそろ「ドイツ」に対するイメージを変えるべきなのです。
というわけで、三橋の次の新作は、ヒカルランドから10月28日に刊行になる、

「ドイツ第四帝国の支配と崩壊 亡国の新帝国主義(グローバリズム) 日本人に緊急警告!」
http://www.amazon.co.jp/dp/4864713170/

なのでございます。

今週も最後までお読み頂き、ありがとうございました。

コメント数:1

  • 私はネットの掲示板などでしばしば「日独伊ヒステリー枢軸三国同盟」どいう言葉を使ってきました。もちろん原子力発電に対する世界の先進自由主義国の中でのこの三国だけの「幼稚でネンネで」「異様なアレルギー火病発症(笑)」のことを揶揄した言葉です。
    もとより、ドイツという国の国家的規模の欺瞞や偽善などいまさらという話ですが、今回のVWの前代未聞の詐欺商売の発覚はそういうところをまざまざと暴いてくれたという点で、画期的な事件だと思っています。(今、一応自由主義という同じ価値観を有し、世界一陰険で獰猛な・・・したがってわが国が同盟の子分としてついて行くのに、今現在では最適な・・・)アメリカさん、グッジョブ!

    一方で、わが身・わが国に関しては、あまりにも国家的規模のプロパガンダや偽善やアピール力という点で貧しすぎる、と改めて感じざるを得ません。
    もう「一億社会主義」の55年体制は終焉を迎えて久しいですし、「議会制民主主義」の中で圧倒的多数を得た政権なのですから、もう「綺麗事」だけばら撒くのはいい加減にして欲しいと思っています。(いや、綺麗事ばら撒くのは絶対に必要ですよ、綺麗事「だけ」ばら撒くのはやめて欲しい、思ってるだけで)

    そういう意味で、安倍さんには可能な限り長くやってもらいたい、と思っています。私は典型的な無党派・支持政党ナシの一人ですし、別に安倍政権がやろうとしていること全部同意してるわけでもありませんけどね。
    残念ながら、安倍さんに代わりうる人がいない、と思います。残念ながら。

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