第67回「ルールなき交通」 2015年9月17日

飛鳥新社から「亡国の農協改革-日本の食料安保の解体を許すな」が刊行になりました。
三橋の書籍としては空前の売れ行きになっております。

http://www.amazon.co.jp/dp/4864104387/
今月の「月刊三橋 9月号」も農協改革を取り上げております。
皆様、月刊三橋をお聴き頂くのに合わせ、是非とも本書をご一読くださいませ。

また、お読みになられましたら、Amazonレビューを書いて頂けると、励みになります。
よろしくお願いいたします。

さて、好む、好まざるに関わらず、我々「人間」は様々なルール(規制)に縛られて生きています。
明文化された規制を決めるのは「政府」ですが、少なくとも国民主権国家の「人間」は、
有権者として規制の決定プロセスに関与できます。

だからこそ、我々日本国に住む「人間」は「国民」なのでございます。
(というわけで、政治決定プロセスに関与できない中華人民共和国の「人間」について、
三橋は国民とは呼ばず「人民」と呼ぶのです)

古典派経済学、新古典派経済学と受け継がれてきた
「主流派経済学」は、政府の規制を嫌悪します。
政府の規制が経済を「歪め」た結果、経済合理性以外の価値観をそぎ落とした
経済人の効用の最大化、パレート最適が実現しないと主張しているのです。

現実に一切の規制が存在しない世界を考えてみましょう。

政府の規制が全て消滅した場合、残るのは
「経済人による合理的な世界」でも何でもなく、殺伐としたサバンナです。
何しろ、規制がないとは「法律がない」と同じ意味になりますので、
強者が弱者を虐げようと、憎悪に駆られて人を殺めようとも
「構わない」という話になってしまいます。

上記のような極端な話ではなくても、
例えば「交通ルールがない」社会を考えてみましょう。
車や人の流れを制御する信号機もなく、「歩行者優先」といった
ルールもない場合、交通は混乱を極めることになります。
当然、交通事故も頻発します。

「そんな社会は、生きていくのが難儀だろうな・・・」

と、思われたかも知れませんが、実は「中華人民共和国」では
右折(中国は右側通行なので、日本でいえば左折)時に
「信号」は無関係で、さらに「歩行者優先」といったルールもありません。
また、直進の信号が赤であっても、右折はできるのです。

というわけで、自動車は容赦なく右折しようとアクセルを踏み込み、
交差点を渡ろうとする歩行者と「サバイバル」を繰り広げています。

三橋の訪中時も、ヒヤッとする場面に五、六度出くわしました。

なぜ、中国で右折時のルールがないのかといえば、
例えば「歩行者優先」といったルールを設定すると、歩行者が
「横暴」になり、トラブルが頻発する事態になるためだそうです。
(とはいえ、せめて直進の信号が赤の場合は、右折禁止にするべきだと思いますが)

つまりは、その地に住む「人間」の民度が、社会の安定を決定づけるという話です。
中国の人民の「民度」は、間違いなく日本国民よりも低いです
(社会の安定性を損ねるいう意味で)。そうなると、
規制というルールで縛ったところで、意味がないのです。

逆に言えば、中国人民は日本国民よりも「弱肉強食」な
市場原理主義、新古典派経済学的な世界に馴染みやすいという話でもあるわけです。
1992年の南巡講話以降、中国経済が「グローバリズム」と連携し、
急成長を遂げた理由の一つに、「中国人民の民度の低さ」があるように、
実際に中国に赴き、感じた次第でございます。

今週も最後までお読み頂き、ありがとうございました。

コメント数:2

  • 確かに!
    今回の憲法9条問題! 正にルール無き立法国(とは言えない)の態を表してきていると思います。
    国民主権国家としては、今回の事件で、崩れ去り日本国民でなく、日本人民になり下がりました。
    安倍政権の行動は、立法国の破壊!正に政治テロリストと、言わざるをえません。
    我々が日本国民であるならば、好むと好まざるにも関わらず、いったんは、従うのがルールー!
    順を追って、進めるのが筋道!私も中国の、交通ルール無し、人命軽視にも驚いたひとりですが、
    今回の事件!ルールの崩壊と思っています。政治家は今に始まった行動ではないと思うますが、
    物事全てにリンクしてます、正しい情報に基ずき学び考え行動しないと、取り返しがつかない事態になってくると危惧しています。コメントいただければ幸いです。

  • 「亡国の農協改革-日本の食料安保の解体を許すな」を購入させていただきました。
    自分は最近たまたま堤美果さんの「沈みゆく大国アメリカ」「沈みゆく大国アメリカ〜逃げ切れ!日本の医療〜」を読んだのですが、両方の内容を統合すると、将来の日本にとって最悪のシナリオが見えてきました。

    三橋先生や藤井先生をはじめ日本の将来を憂う言論人の方が仰るとおり、現代は選挙で国会議員を選んだだけでは不十分で、政府が間違った方向に行こうとしている時や行った時は、自分の意見を適宜彼らに伝えなくてはならない時代になったと思います。
    (とりあえず、自分の所在県の自民党県連HPに投稿しました。)

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