第49回「凡庸という悪魔」 2015年5月14日
凡庸という悪魔といえば、先日、藤井聡先生が出版された
「<凡庸>という悪魔 21世紀の全体主義」のタイトルでございます。
http://www.amazon.co.jp/dp/4794968191/
元々、「凡庸という悪魔」とは、実は全体主義の研究家で
ユダヤ人のハンナ・アーレントが、ナチス・ドイツ下で「官僚」として、
数百万の人々を強制収容所へ移送する計画を立て、
責任者として管理したアドルフ・アイヒマンについて評した言葉です。
アイヒマンはナチス崩壊後に逃亡し、イスラエルのモサドにより
アルゼンチンで捕らえられました。その後、アメリカのNYで裁判に
かけられるのですが、ハンナ・アーレントはアイヒマン裁判を毎回、傍聴したのです。
結果、ハンナ・アーレントはアイヒマンがいわゆる「悪人」ではなく、
官僚として「上からの指示」に基づき、淡々と「業務」を
遂行したに過ぎないことを知り、愕然としたわけでございます。
藤井先生の「<凡庸>という悪魔」は、以下の通り紹介されています。
『「思考停止」した「凡庸」な人々の増殖が、巨大な悪魔=「全体主義」を生む。
21世紀の全体主義は、ヒトラーのナチス・ドイツ時代と違い、
目に見えない「空気」の形で社会を蝕む。マスコミに圧力をかけ
言論を封殺する政治家も、改革を絶対視する風潮も、グローバリズムの蔓延も、
学界の劣化も、すでに「全体主義」の危険水域!
ハンナ・アーレント「全体主義の起源」の成果を援用しつつ、
現代日本社会の様々な局面で顔をのぞかせる、
「凡庸という悪」のもたらす病理の構造を抉る書下ろし論考。』
三日後、5月17日(日)に「大阪都構想」と称する
大阪市解体構想の住民投票が実施されます。
推進派である維新の党のやり口は、マスコミに圧力をかけるなど、
様々な言論統制を実施し、大阪市役所を「敵」として認定し、市民の憎悪を煽り、
さらに虚偽のフレーズのみを連呼することで、市民を「思考停止」に追い込むという、
まさしくナチス・ドイツがやったそのままの全体主義手法を駆使しました。
「凡庸という悪魔」は、日本国民にとって他人事ではありません。
すでに、我が国は「全体主義」のとば口に立っているのです。
三橋は「自由」「改革」といったフレーズを連呼し、国民の思考を
停止状態に追い込み、権力を奪する”彼”の物語を社会に伝えたく、
さかき漣:著「顔のない独裁者」を企画しました。
不思議な偶然ですが、「顔のない独裁者」を原作とした
ショート・アニメーションが、まさに大阪の住民投票の二日前にリリースとなります。
【日本アニメーター見本市 第22話「イブセキヨルニ」】
http://animatorexpo.com/news/80
三橋がやたら「言葉の定義」に拘り、指標や経済用語について
「データに基づき、奥の奥まで理解する」というタイプの講義を展開しているのは、
まさに上記の思考停止に陥ることを避けることを目的にしています。
「三橋を信じて欲しい」わけではありません。
思考停止に陥らない「テクニック」を学んで頂きたく、三橋は
月刊三橋というコンテンツを提供しているのでございます。
いずれにせよ、住民投票まであと三日です。
大阪市民の皆様が思考停止に陥らず、「凡庸という悪魔」と
化さないよう、最後まで努力を続けたいと思います。
今週も最後までお読み頂き、ありがとうございました。