第85回「人口ボーナス論」 2016年1月28日
現在の日本は総人口よりも生産年齢人口が速いペースで減り、
生産年齢人口比率が低下していっています。
同時に、日本はデフレにより未だに国民の実質賃金が低下しており、
若年層の雇用や所得が不安定化し、結婚が減り、少子化が継続しています。
結果、生産年齢人口比率の低下は(少なくとも20年間くらいは)継続することになります。
とはいえ、よくよく考えてみると、今後の日本は生産年齢人口比率の低下を受け、
「働き手(特に若い働き手)」が貴重になり、人手不足が深刻化することが明らかなのです。
そして、人手不足こそが生産性向上を促し、生産者の実質賃金を引き上げます。
生産年齢人口比率の低下は、国民の実質賃金を高め、若年層の雇用や所得を
安定化させ、結婚を増やし、最終的には少子化を解決する絶好の機会なのです。
何というか、人口のスタビライザー(安定化装置)機能により、
我が国の諸問題は解決が「予定」されてしまっているわけです
(無論、外国人労働者を入れないことが前提ですが)。
上記の「解決策」に対し、例により「経済学的レトリック」を持ち出し、
反論する人がいます。いわく、
「日本は生産年齢人口比率が低下し、人口オーナスの状況に入ったため、経済成長できない」
というものです。人口オーナスとは何か。逆に、人口「ボーナス」論を考えれば、理解できます。
人口ボーナス論とは、
「子どもと高齢者の数に比べ、働く世代(≒生産者)の割合が
増えていくことによって、経済成長が後押しされる」
つまりは、生産年齢人口比率の「上昇」が経済成長を後押しするという考え方です。
逆に、生産年齢人口比率が低下すると、経済成長はできないというのが人口オーナス論になります。
上記の「人口ボーナス論」は、実は経済成長の「基本」を無視しています。
すなわち、持続的な経済成長とは「インフレギャップ(需要過多)下の
生産性向上(生産者一人当たりの生産の増加)によってのみ、達成される」という事実を無視するのです。
単に、インフレギャップ下で「生産者」が増加すれば、供給能力が高まり、
経済成長するという考え方が人口ボーナス論です。
生産者の生産性が変わらないとして、インフレギャップの状況で生産者数が増えれば、
それはまあ、GDPは増えるでしょう。とはいえ、「生産者一人当たりの生産=所得」が
増えるわけではないのです。つまり、国民の豊かさは変わりません。
人口ボーナス論の考え方は、
「生産者の所得を増やさずに、全体のGDPを大きくする」
という概念なのです。
お分かりでしょうか。人口ボーナス論を持ち出す人は、生産性の向上を
無視する以上、「生産者」を豊かにするのが嫌、という前提があるとしか思えないのです。
つまりは、人件費の上昇を回避したいわけですね。
結局、現在の我が国における様々な経済的な論争は、
「生産性向上で国民が豊かになり、豊かになった国民が消費・投資を増やし、持続的な経済成長を遂げる」
のを善とするのか。それとも、
「国民の実質賃金を抑制し、グローバル市場における価格競争力を
高めて自らの利益(グローバル投資家など)を最大化する」
のを望むのか。
上記の「価値観の争い」であることが理解できるのです。
「国民の実質賃金を抑制し、グローバル市場における価格競争力を
高めて自らの利益(グローバル投資家など)を最大化する」
を支持する方は、利益をマスコミや政治献金にまわしてここまできたわけか・・・。
生産性向上が投資に比例して伸びれば良いのですが、すこし楽観的な気もします。
農業などでは、収穫逓減の法則にみられるようにある一定からは成長率の減退があるのが
現実的な気もします(三橋さんのような裏打ちされたデータを背景にしていないので説得力は無いですが)
ゆとり世代の若者をみていると心配です。
価格は需要と供給によって決まる。ということで賃金上昇は期待できます、、、、が現実いつになるのやら
そうなればいいです、本当に。
「生産性向上で国民が豊かになり、豊かになった国民が消費・投資を増やし、持続的な経済成長を遂げる」
のを善とする。に賛成。
人を育てる会社、愛社精神を持つ従業員、会社と従業員の一体感、輪が薄れてきた、今の社会構造、派遣社員、使い捨て社員では連帯感もてず、従業員と会社の間には信頼関係ができず、本来会社の財産である人を会社はどう思っているのか?派遣で働く人は責任がなく気楽でいいからなのか、派遣システムが蔓延している構造そのものが問題ありと思っています。昔の社員システムは良かった、年功序列システムには問題がありましたが、安定した生活のゆとりのなかで、働く生きがいをもてる社会システムの構築が必要と思います。
せかいきぎょうせんそうのじだいで企業もいきのこりをかけてひっしのたたかいをしているよにおもいます、
前のバブル以前は何となく世の中の空気がゆっくり動いていたような気がしますが、世界を相手ではそうはいかないのでしょうか、
経済戦争の次に来るのは武力による戦争が見えてくるような気がしますが
みんなが欲張らずに生きて行けるように指導者は道を作ってほしい。